AIM本領域の目的

染色体は生命の本質である。過去の研究から、転写、複製、組換え、分配、エピゲノム修飾といった
個別の染色体機能についての理解は深まりつつある。
しかし、今後の染色体生物学の課題は、染色体の諸機能がどのように連携し、
その連携状態は様々な生物学的過程においてどのように経時変動していくのか、
一つの機能統合体としての染色体をありのままに解き明かすことである。

本領域では、染色体の3次元構造の再構築と4次元情報の取得を通じて、
染色体が機能統合体として働く仕組み(染色体オーケストレーションシステム染色体OS)を理解することを目指す。
本領域が提供する技術情報基盤は、
創薬、再生医療も含めた我が国の生命科学研究全般のさらなる発展に資することが期待される。

SUBJECT本領域の内容

本領域では、染色体の構造と機能について、
その諸機能の連携と階層性を徹底的に洗い直し、
機能統合体として染色体が働く仕組み(染色体オーケストレーションシステム:染色体OS)を
理解することを目的とする。

染色体OS

染色体OSについて
公募班
高次構造計測技術、システムバイオロジー、高分子モデリング、シミュレーション、
染色体やその構築環境の物性など、幅広い分野から採択

3D構築班、4D情報班の2つの班を設定し研究を展開する(上図)。

3D構築班では、染色体の諸機能を担う分子装置を主として試験管内で3次元再構成するアプローチを通じ、染色体という巨大な構造体の可塑性とそこで展開される諸機能の連携を包括的に理解する。

一方4D情報班では、こうした染色体3次元構造が種々の動的過程(細胞周期、減数分裂、分化、ストレス応答、病態形成)の時間軸に沿ってどのように変換されるか、つまり4次元情報を俯瞰的視点から検討し、ゲノムの構造変化が生命機能に必要な情報へと転換される動態を解明する。

この2つの班は密接かつ相互補完的に融合するが、一部重複するテーマも扱う。共通の研究基盤として染色体OS情報プラットフォームとモデル染色体を開発し、共有しつつ、最終的に染色体OSという、従来の染色体生物学を超えた新たな概念を提案する。

ACHIEVEMENTS AND SIGNIFICANCE期待される成果と意義

図

可視化(2D/3D,様々なスケールで)
立体構造に対する各種アノテーションのマッピング

  • 立体構造と病気等表現系との関係性を評価する機能(染色体可塑性等の定量評価)
  • 染色体OS原理を解析する機能(ビルディングブロックの階層分類/類型化、因子と立体構造の関連性解析等)

解析(クラスタリング等)サンプルのアノテーション(表現型、時系列等)

  • 大局的構造の
    類似性の例

    大局的構造の類似性の例

  • 局所的構造の
    類似性の例

    局所的構造の類似性の例

  1. 第一に、本領域によって構築される「染色体OS情報プラットフォーム(各動的過程における染色体動態のデータベースとその動態を体系的に注釈、可視化するツール)」(図)の公開により染色体OSの分子基盤が明らかになる。その結果、染色体諸機能の破綻によって引き起こされる疾病の病態の本質的な理解に貢献できる。
  2. 第二に、本領域の研究基盤として活用する複数の機能を再構成したモデル染色体は、更なる改良を経て将来的には、疾患治療、育種改良に応用できる可能性が期待される。
  3. 第三に、世界的に不足している「実験生物学と情報学の両方に長けた研究者」の育成が可能となる。この問題は今後の日本のライフサイエンス研究の振興にとって喫緊の課題である。
計画班の構成
区分 # 班員名 所属 分担者 研究課題名
A01 01 平野 達也 理化学研究所 大杉 美穂 分裂期染色体の3D構築原理
02 深川 竜郎 大阪大学 セントロメアを中心とした染色体構築原理
03 篠原 彰 大阪大学 染色体軸-ループ構造(染色体3D構造)に基づく減数分裂期の染色体機能の制御
04 岩崎 博史 東京工業大学 DNA二重鎖切断修復装置の3D作動原理
05 荒木 弘之 国立遺伝学研究所 染色体3D構造の複製を基盤とした染色体動態の連携
A01/02 06 白髭 克彦(代表) 東京大学 永江 玄太 / 岡田 由紀 分化過程の染色体4D情報
A02 07 広田 亨 公財)癌研究所 石井 浩二郎 染色体不安定性獲得過程の染色体4D情報
08 今井 由美子 秋田大学 ウイルス感染に対する宿主染色体の4D応答機構
09 伊藤 武彦 東京工業大学 吉田 健一 染色体高次構造情報の計算機的再構築および染色体構造と表現型の連関解析

評価者の紹介

本領域では評価者として国内の染色体(ゲノム・エピゲノム)関連分野から3名、さらに外国から4名のアドバイザーに参画していただいた。

これら世界トップクラスのアドバイザーの意見を積極的に受けるため、海外開催を含む班会議や公開シンポジウムを開催する。

氏名 所属 専門分野
角谷 徹仁 国立遺伝学研究所/東京大学大学院理学研究科 分子遺伝学
古関 明彦 理化学研究所 分子生物学
塩見 春彦 慶應大学 分子生物学
John Diffley イギリス・英国がん協会 分子遺伝学
Frank Uhlmann イギリス・オックスフォード大学 分子生物学
Susan Gasser スイス・バーゼル大:FMI研究所 細胞生物学
Camilla Sjogren スウェーデン・カロリンスカ研究所 細胞生物学

CONTACT問い合わせ先

学術的内容、HPの不具合や要望、講義・講演・取材のご依頼に関して

染色体OS事務局

chros2015-at-gmail.com(-at-を@に変更して下さい)

各計画研究に関する個別の問い合わせは、それぞれの計画研究代表者へお問い合わせください。

PUBLICATION, NEWS成果発表・ニュース

2016.08.17 セミナー情報
セミナーのご案内(Yuichiro Takagi, Ph.D.)
2016.08.01 ニュースレターの発行班会議
第3班会議報告
2016.06.30 班会議
保護中: 2016年度 第3回班会議

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